「紹介で広がる会社は、なぜ広告に頼らないのか ― “語りやすさ”は、設計できる」

「紹介で広がる会社は、なぜ広告に頼らないのか ― “語りやすさ”は、設計できる」

Kenta Torii

Knowledge

「もっと紹介を増やしたいんです」

中小企業の社長から、よくこう相談される。広告にお金をかけ続けるのはしんどい。できれば、いいお客さんが、いいお客さんを連れてくる状態をつくりたい。気持ちはとてもよく分かる。

紹介を増やす、と聞くと、多くの人はまず「仕組み」を考える。紹介キャンペーン、紹介特典、あるいは既存客への定期的な声かけ。もちろん、それらは効く場面もある。でも、現場でいろんな会社を見てきて、僕が思うのはこうだ。

紹介が勝手に回る会社と、いい仕事をしているのに回らない会社。その差は、特典の有無じゃない。もっと手前、「語りやすさ」で決まっている。

■ 紹介とは、誰かがあなたの代わりに説明してくれること

そもそも紹介って、どういう瞬間に起きるか。

誰かが、あなたの会社を知らない third の人に向かって、「あそこ、いいよ」と話す。その一言が起点だ。つまり紹介とは、あなたのお客さんが、あなたの代わりに、あなたの会社を説明してくれる行為なんだ。

ここに、決定的な事実がある。人は、自分がうまく説明できないものを、他人に紹介できない。

どれだけ満足していても、「よかったんだけど…なんて言えばいいのかな、いろいろやってくれて…」となった瞬間、その紹介は前に進まない。相手にうまく伝わらないし、なにより、語る本人が「うまく言えない」ことに小さなストレスを感じて、口が重くなる。

逆に、「あそこはね、◯◯な会社だよ」と一文でスッと言える会社は、語る側も気持ちがいい。だからよく語られる。よく語られるから、よく広がる。

紹介の量は、満足度だけでは決まらない。「お客さんが、あなたの会社をどれだけ短く語れるか」で決まっている。

■ 「いい会社なのに伝わらない」の正体

僕が出会う中小企業のほとんどが、「いい会社なのに、よさが伝わらない」という悩みを抱えている。

これ、紹介の話とまったく同じ構造だ。よさが伝わらないのは、品質が低いからじゃない。よさが「言葉になっていない」から、他人が持ち運べないんだ。

社長の頭の中には、譲れない哲学がある。現場には、他社が真似できない流儀がある。でも、それが一文に絞り込まれていない。だから社員に聞いても、営業資料を見ても、ホームページを読んでも、返ってくる説明がバラバラで、しかも長い。

長い説明は、コピーできない。人の記憶に残らない言葉は、紹介の場に持っていけない。結果、これだけいい仕事をしているのに、その評判が本人たちの周りだけで止まってしまう。

■ 語りやすさは、足し算じゃなく引き算でつくる

では、どうやって「語りやすい会社」になるのか。

多くの人は、説明を「足す」方向に行きがちだ。強みが伝わらないなら、強みをもっと並べよう、と。実績も、こだわりも、サービスの種類も、全部書き足す。でも、これは逆効果になることが多い。情報が増えるほど、相手は「で、要するに何の会社なの?」と分からなくなる。覚えられる量には限りがあるからだ。

僕がヒアリングの最後にやるのは、足す作業じゃなくて、削る作業だ。

社長に、なぜこの会社を始めたのか、今も続ける理由は何か、本当はどこへ行きたいのかを聞いていく。出てきた無数の言葉から、「これだけは譲れない」という一点まで絞り込んでいく。十のことを言おうとするのをやめて、一つを言い切る。

このとき大事なのは、かっこいいキャッチコピーをつくることじゃない、ということ。社長本人が、飲み会でも、朝礼でも、自然に口にできる言葉になっているか。社員が、そのまま使える言葉になっているか。飾った言葉は、現場で使われずに死ぬ。使われる言葉だけが、紹介の場まで運ばれていく。

■ 「何と紹介されたいか」を、自分で決める

最後に、一番大事なことを。

多くの会社は、自分が世の中で「何と紹介されているか」を、なりゆきに任せている。お客さんが勝手につけた説明で、なんとなく広がっていく。それでたまたま良い方向に転がることもあるけれど、多くの場合、いちばん伝えたい価値とはズレた形で伝わっていく。

僕がやっているのは、ここを「なりゆき」から「設計」に変える仕事だ。あなたの会社が、お客さんの口から、どんな一文で語られたいか。それを先に決めて、ホームページも、パンフレットも、社員の言葉づかいも、その一文が伝わる方向に揃えていく。

そうすると、紹介は特典で無理に押し出すものではなくなる。放っておいても、あなたの価値が、あなたの意図した形で、勝手に運ばれていくようになる。

口コミは、運じゃない。「語りやすさ」という設計の結果だ。

あなたの会社は、お客さんに、何と紹介されていますか。
その一文は、自分で決めた言葉になっていますか。

もし「たぶん、なりゆきで広がっている気がする」と感じたなら。その“語られ方”を一度、自分の手で設計してみる価値があると思う。

――

COLORSDRIP では、中小企業の思想・価値・目指す姿を言語化し、デザインによって“未来の経営資産”に変えるお手伝いをしています。「うちは、何と語られる会社にしたいだろう?」と思った方は、まず気軽に話を聞かせてください。→[HP相談フォーム / LINE]

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デジタル領域が得意なデザイナー。日頃から海外のトレンド情報や最新技術をインプットし、お客さまに価値を届けます。

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